リーマン・ショックで時代は変わって

ところが、2008年にリーマン・ショックが起こり、アバクロは急速に勢いを失っていきます。ターゲットの顧客層であるティーンエイジャー達も、親の懐が寂しくては高いTシャツを買いあさっている場合ではありません。低価格戦略を繰り広げるH&M、Forever21、ユニクロなどが徐々に勢力を拡大していきました。2009年暮れ以降、銀座を始めとするアジアの各店舗が大々的にオープンし、ヨーロッパ各地の店舗での売り上げと共に多少の巻き返しに成功したかのように見えましたが、決定的な打撃は昨年2013年5月にやってきました。2006年にオンライン・マガジンに掲載されたマイク・ジェフリーズのとんでもないコメントが、再び脚光を浴びることになったのです。ありとあらゆるメディアが取り上げましたので、私もすぐに全文を読みましたが、呆れ返ってしまいました。CEOが堂々と、「アバクロンビーはいかした人気者だけをターゲットにしている」「ださい奴や太った奴には着てほしくない」「排他的と呼ばれて結構」といった内容のコメントをし、だから、メンズには筋肉質で大きいフットボール選手やレスリング選手のためにXL、XXLサイズを用意しているが、レディースは意図的にサイズ10(日本では13号ですが、アメリカでは通常10はMサイズの大きめで0から16までが一般的です)までしか作っていないと明言しているのです。これには、サイズ0の我が家の娘も怒り心頭のようでした。

とんでもないCEOに+1 !

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興味津々、行列のできる店
2005年にニューヨーク5番街の56丁目にアパクロンビー&フィッチがフラッグシップ・ストアをオープンした時は、とんでもない騒ぎでした。下の娘がまだミッドタウンにあるプリスクールに通っていたので、毎日午後2時半頃に前を通るのですが、まるでディズニーランドのアトラクションへの入場を待っているかのような長い長い行列が来る日も来る日も途切れることなくできているのです。店舗の外壁はガラスに黒っぽいよろい板が
全然、分からん?
娘も息子と同じ学校のキンダーに入学し、ミッドタウンに行くことが少なくなった翌年以降も、たまに前を通ると例の行列は続いているようでした。広告などで見るアバクロのイメージは、肌をあらわにしたモデルのセクシーな雰囲気のものが多く、個人的にあまり好感の持てるものではありませんでしたので、商品を見る機会さえありませんでした。ところが、息子が制服のないミドル・スクールに上がった頃から、同級生の女の子のお母さん
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反アバクロのティーン達
既に、娘の友人達の間では「今時、まだアバクロンビーをもてはやしているのは田舎者だけだ」という雰囲気が浸透しつつありましたが、この馬鹿げたコメントに対する、マンハッタンのリベラルな私立校育ちのティーンエイジャー達の反応は厳しいものでした。小さい頃から『Glee』を観て育ち、ゲイ、レスビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、肥満、心身障害、人種、貧富の差と、とにかく全ての壁を取り払うことを信条とし