「メイン」カテゴリ内の記事を表示しています。
2005年にニューヨーク5番街の56丁目にアパクロンビー&フィッチがフラッグシップ・ストアをオープンした時は、とんでもない騒ぎでした。下の娘がまだミッドタウンにあるプリスクールに通っていたので、毎日午後2時半頃に前を通るのですが、まるでディズニーランドのアトラクションへの入場を待っているかのような長い長い行列が来る日も来る日も途切れることなくできているのです。店舗の外壁はガラスに黒っぽいよろい板が貼り付けられていて、中の様子をうかがい知ることは全くできない状態で、雨の日も風の日も人々は待ち続けて...
娘も息子と同じ学校のキンダーに入学し、ミッドタウンに行くことが少なくなった翌年以降も、たまに前を通ると例の行列は続いているようでした。広告などで見るアバクロのイメージは、肌をあらわにしたモデルのセクシーな雰囲気のものが多く、個人的にあまり好感の持てるものではありませんでしたので、商品を見る機会さえありませんでした。ところが、息子が制服のないミドル・スクールに上がった頃から、同級生の女の子のお母さん達との会話の中にアバクロンビーの名前が挙がるようになりました。着るものになど全く興味のない息子は別と...
ところが、2008年にリーマン・ショックが起こり、アバクロは急速に勢いを失っていきます。ターゲットの顧客層であるティーンエイジャー達も、親の懐が寂しくては高いTシャツを買いあさっている場合ではありません。低価格戦略を繰り広げるH&M、Forever21、ユニクロなどが徐々に勢力を拡大していきました。2009年暮れ以降、銀座を始めとするアジアの各店舗が大々的にオープンし、ヨーロッパ各地の店舗での売り上げと共に多少の巻き返しに成功したかのように見えましたが、決定的な打撃は昨年2013年5月に...
既に、娘の友人達の間では「今時、まだアバクロンビーをもてはやしているのは田舎者だけだ」という雰囲気が浸透しつつありましたが、この馬鹿げたコメントに対する、マンハッタンのリベラルな私立校育ちのティーンエイジャー達の反応は厳しいものでした。小さい頃から『Glee』を観て育ち、ゲイ、レスビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、肥満、心身障害、人種、貧富の差と、とにかく全ての壁を取り払うことを信条としている彼らには、どうにも許しがたいコメントだったようです。あっという間に、アバクロを着ること自体、恥...